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『あさいち』に寄せて

『あさいち』が復刊されるとのご報告をさせていただきましたところ、早速『あさいち』への投稿がありました。ぜひ皆様にもお読みいただきたく投稿者のご了解を得てこちらに掲載させていただきました。輪島での「朝市」を体験したからのこその思いを共感していただければ嬉しいです。

投稿者ご本人による画像 (絵=大石可久也 かたり=輪島の朝市の人びと 福音館書店)



福音館書店が「かがくのとも絵本」シリーズ「あさいち」を復刊することを決めたとのニュースを知りました。確かあるはずと思い、自宅の本棚を探すと…あった! 1980年1月1日発行、月刊予約科学絵本「かがくの友」通巻130号「あさいち」 え=大石可久也 かたり=輪島・朝市の人びと

見開きにみずみずしい菜っ葉を渡す人の手と買い求める人の手、ページをめくる度に懐かしい被災前の穏やかな風景が描かれていて、思わず胸が熱くなります。家族で、また遠来の友人を連れて何度も何度も訪れた、私の自慢の能登半島…。

折り込みふろくの中に、市「労働」の展示場 ―市とスーパーマーケットのちがい―と題した、当時の「編集部」の文が載っています。

狭い通りの地べた両側に延々とくりひろげられる市を、左右から聞こえてくるステレオ効果の売手の呼び声にひきずられて歩きますと、まるで絵巻物を見ているような目くるめく世界です。と始まり…、「こうてくだ」と呼びかけているのがみんな、その商品の生産者なのです。自分がとってきた海産物、自分が種をまき育てた農作物を所せましと並べているのです。「海のかおり」「土のにおい」のほかに、それらのひとつひとつを産みだした人びとの「労働のいぶき」が、ここには充満しているようです。と続きます。

―中略―

そして最後に、市は「労働の展示場」であるだけでなく、「人びとのいこいの場」「情報交換の場」でもあります。 まさに売る楽しみ、買う楽しみ、おしゃべりの楽しみです。よく、子どもが庭先で遊びながら、縁側の大人の茶飲み話を、聞くともなく聞きながすでもなく聞いていたりするように、この絵本の文を聞いてくれればと思います。と締めくくってあります。

―一部折り込みふろく抜粋―

日々の生活と生業が最も密着した形で残る市がここにはあります。一度訪れた人びとが、思わず「第二のふるさと」と口にしてしまうほどの懐かしさと、温かさと、愛らしさ…、伝えていきたい大切な文化が「輪島のあさいち」にはあるのです。  

 

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