
2025年度は「絵を読もう」
以下の5つをテーマとし、2021年度から5年間かけて活動していきたいと考えています。
今年度の活動目標は「絵を読もう」です。
活動の5つのテーマ
□センス・オブ・ワンダー (2021年)
□ことばと生きる (2022年)
□ことばを食べよう (2023年)
□音読のすすめ (2024年)
■絵を読もう (2025年)
今年度のテーマ「絵を読もう」に寄せて
絵を読もう
保育園児との忘れられない対話型鑑賞の思い出をひとつ。
それは、春のやわらかな草におおわれた土手の風景が描かれている『水温む頃』※という作品。どんな場所?何色が使われている?季節は?天気は?と答えやすい質問を繰り出す。子ども達の緊張も解け、場もあたたまった頃、ひとりの子が「自転車に乗ってここを走ってみたい」と発言した。その素直なことばにハッと驚かされた。
美術館で行われるギャラリートーク(解説会)は、作家や技法、解説などを加えて学芸員が一方的に話すものである。一方の対話型は、グループで話し合いながら作品の鑑賞を深める方法で、難解といわれる現代美術によく使われている。それは、その作品がどんなものであるかをいい当てるのではない。それを見てどう感じたかを、ことばにして発言することに意義がある。同じものを見ても、ひとりひとりの感じ方はこんなにも違うのかという驚き。そして、自分の思いをことばで表現するというスキルを磨く場ともなる。
何度か経験していく中で、対話が弾む絵とそうではない絵があることに気づいた。私のファシリテーター能力が不足しているのかとも考えたのだが・・。
ある時、松居直氏の言葉にそのヒントを見つけた。
「大人は鑑賞するってこと、見るってことで満足しますけれど、子どもは見るだけでは満足しません。そこに物語がなければ子どもは絵本を見る時に満足しないんです。」
(ことばの花束No.50)
絵本を絵に置き換えてみると、先の『水温む頃』は、子どもたちにどんな物語を語ったのだろうか。発言した子は、見事に絵の中に入って、絵を読み、感じたことを自分なりのことばで表現してくれた。
子どもたちを見習って今年は、絵を絵本を、もう一度まっさらな気持ちで読もうと思う。さて、幼い頃のように物語の中に入ってけるだろうか?
空とこども絵本館館長 二木裕子
※山田申吾作 日本画 1968 小松市立本陣記念美術館蔵
投稿のお願い
今年は、「絵を読もう」をテーマとして、月に1回、小松市空とこども絵本館のスタッフとメンバーそれぞれが、声に出して読んでみたい絵本をご紹介していきます。
みなさんにとっての声に出して読んでみたい絵本は何でしょうか。その絵本を選んだ理由も添えてぜひとも投稿をお願いいたします。

『おふろやさん』
西村繁男/作 福音館書店
初版は1977年。表紙は、今では懐かしく感じられる町の風景です。
あっちゃんは家族でおふろやさんへ。おふろやさんには子どもから大人までいろんな人がいて、とてもにぎわっています。
銭湯絵の定番の富士山と松、湯船でふざけておじいさんに叱られる子どもたち、お風呂あがりに牛乳を飲むあっちゃん・・・。じーっと目を凝らしてすみずみまで絵を楽しんでください。
たくさんの発見がありますよ。
(絵本館スタッフ S)